天羽優子

宣伝文句の中に、これ見よがしに特許番号を出している場合があるが、あれは単に同業他社に対して「真似すんな!」と言ってるだけである。特許番号が宣伝に書いてあるからといって、宣伝内容の科学的正しさとは無関係である。どうも、意図的に、一般に流布している、「特許が出ている=正しい科学知識に基づいて開発した、優れた独自技術を持っているに違いない」という先入観を利用しようとしている節があるので注意が必要だ。 特許はアイデアを保護するためのものである。特許庁の審査を通ったものは「特許公報」に掲載され、審査前のものは「公開公報」に掲載される。どちらに出ているかは、特許電子図書館のウェブページで調べればわかる。審査を通ったものの方が信頼度は高いが、それでも科学的に正しいという保証はない。特許庁では、特許の内容に書かれている装置などを実際に作って確かめることは行わず、書類上の審査だけなので、トンデモない話が紛れ込む可能性は避けられない。ましてや、書類の形式さえちゃんと整っていれば出願をすることはできるし、出願から1年半たつと、ほぼ自動的に公開されるのだから、単に「公報に掲載されている」と言うだけでは、その内容の科学的正しさが保証されていることにはならないことは、当然である。